レッスンで初めて和傘を手にされた方から、よくいただく言葉です。
私は「背筋を伸ばしてください」とはお伝えしていないのに、和傘を持った瞬間から、立ち姿が確かに変わるのです。
それは、和傘が人の身体を自然と整えてくれるから。
私たちは普段、スマートフォンやパソコンを見る時間が長く、知らず知らずのうちに前かがみになっています。肩が内側に入り、呼吸も浅くなりがちです。
でも、和傘を持つと、その持ち方や重みを感じながら、自然と道具を大切に扱おうとします。
その気持ちが手の動きを変え、肩の力を抜き、胸を開き、背筋をすっと伸ばしてくれるのです。
軸を意識することも、姿勢の変化には欠かせない大きな要素です。
私は、所作は「きれいに見せる技術」ではなく、「自分自身を整える時間」だと思っています。
身体が整うと、歩き方が変わります。
歩き方が変わると、所作が変わります。
所作が変わると、不思議と表情までやわらかくなって心も変わります。
すべてはつながっているのです。
和傘は、日本人が長い年月をかけて育んできた美意識が詰まった道具です。
開くときも、閉じるときも、置くときも、一つひとつの動きには、道具を慈しみ、人を思いやる心が込められています。
効率が求められる時代だからこそ、丁寧に扱う時間は、自分の心を整える時間にもなるのではないでしょうか。
和傘は、雨をしのぐためだけの道具ではありません。
美しく立つこと。
そして、美しく生きること。
その大切さを静かに教えてくれる、日本の宝です。
もし和傘を手にする機会があれば、姿勢を意識する前に、そっと大切に持ってみてください。
きっと身体が整い、心も整い、昨日より少し凛とした自分に出会えるはずです。
和傘は、美しさを飾る道具ではありません。
あなたの中にある美しさを、そっと引き出してくれる道具なのです。

